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 では全く使えないのかというとそうでもないのです。必要以上にガンガン燃やして熱の大部分を煙突に送り込んでしまえば、トップまである程度の温度がもつので、燃えるのです。でもこれではストーブ本体が耐えうる訳もなく、構成部品を傷めてしまう非常に残念な使い方です。鋳物はどこまでも熱に耐えるものではなく、各メーカーとも耐用設計温度は550℃内外でしょう。(ちなみに耐用温度についての質問には、海外メーカーは、怪訝な顔をします。二重煙突が当たり前の国では、そんなに温度を上げることがないのでしょう。)
 トップから出る煙のスピード=ストーブ本体が吸入する空気の量 ですから
煙突の断熱性が優れていれば、煙突の外に排出される熱ロスが少なく、ゆっくりと高効率で使用できることがお解かりいただけると思います
 現在の高気密住宅においてはなおさらのこと、弊社では空気層式二重煙突でもおすすめしておりません。

断熱二重煙突

 薪ストーブを安定的・経済的に燃焼させるには、薪の乾燥やストーブ本体の密閉性など、いくつかのファクターがありますが、何より重要なのはやはり二重断熱煙突を使用することでしょう。
これには大きくは以下の理由があります。
ちょっと長いですが、お付き合いください。

(1)煙突内の煙の温度を下げないこと。
(2)煙の温度を下げないことにより、
タール・煤の付着を少なくすること。
(3)煙突の外に熱を出しにくいため、火災の危険から
安全性を保てること。

 まず(1)ですが、昔から煙は高いところが好きだと言われていますが、暖かい煙だけが高いところに昇っていくのが好きなのです。
 では、HCなどで販売されている、昔ながらのφ120程度の薄い鋼板製の煙突はどうなのでしょう?触ると当然熱いので、逆に言うと中の煙の熱は外に逃げ、煙の温度はどんどん下がっていきます。1mあたり30〜40%程度温度が下がり続けます。口元のあたりで仮に400゜Cだとすると、3m上がった所では、130゜C以下にも下がってしまう計算です。
 煙は外気温との温度差(気圧差)によって上昇しますので、温度が下がるとそれだけ上昇スピードが鈍り、最終的には煙突の中で留まってしまいます。これが秋口によくある『燃えない』という現象です。

 (2)の
タール・煤の付着は薪の含水率にもよりますが、煙突内壁の温度が
約150℃以下になるとどうしても防げません。
窓の結露と同じなのです。シングル
ガラスは冬にはダラダラと結露しますが、ペアガラスは結露がほとんどありません。
あの現象です。
 煤が煙突内に多く着くと、当然ですが煙突の内部を狭め、スムーズな煙の上昇を
邪魔します。燃えが悪くなってきます。また、二重断熱煙突でも煙突掃除は必要
ですが、シングル煙突のように頻繁ではありません。

 (3)の安全性は何よりも大切なことです。
厄介なことに、(2)で言った
タール・煤はある程度の条件が重なると燃えるのです。これを煙道内火災と呼びますが、温度は約1,200℃にも達するそうです。現在の消防法では、煙突からの最低限の離隔距離は15cmになっていますが、これでは断熱性の無い・または低い煙突では火災は防ぎようがありません。当社をはじめ、多くのストーブ専門店は設計の際、日本暖炉ストーブ協会の規定を最低限のものとして、事故防止に努めています。


 二重煙突は、その断熱性が第一に求められる条件ですから、空気層式の二重煙突は多くの場合専門店は使用しません。メーカーまたは元売りが数値を表して、責任を持てるものだけを使用します。


 キチンとした二重断熱煙突は高価です。1Mの直筒で4万円前後です。しかしこれをご使用にならないと、せっかくのストーブの性能が出ないだけではなく、例えば
薪もより多く(1.5倍〜2倍程度)使う事にもなります。自分で作っても、買ってる方でも大変なことです。ストーブ本体の補修費もよりかかってきます。
でも何より、安全性は大事になってからでは遅いのです。
 
断熱エントツの重要性をご理解いただけましたでしょうか?